デザインの考察:9

研究と創作の昇華 人間国宝(木工芸)大坂弘道 倉吉博物館
大変失礼ながら、大坂弘道氏を存じ上げなかったのです。恥ずかしい限りです。
大坂氏の作品を日曜美術館で拝見し、いつもの「直感的出会い」にそわそわが始まりました。まるで人生の半分損したような大げさな焦りと、それでも今ここで出会えた「救い」とに落ち着かず、すぐに調べ始めました。
日曜美術館では、倉吉博物館(鳥取県倉吉市)で令和5年9月9日~10月15日まで開催された「大坂弘道記念碑建立記念展 木の表現」を案内していました。大坂氏は2020年にお亡くなりになっていました。大変残念です。
倉吉博物館で配信された短いながらも秀逸な動画がネット上にあり慰めになりました。生涯の研究テーマに出会い創作されていたことを羨ましく思います。
鳥取までは行けないため、博物館に問い合わせをして図録を3冊購入しました。図録について丁寧にご対応くださったご担当の方に記事投稿についてご承諾をいただいた際に、図録内の写真を数点掲載してとよいとの大変ありがたいお言葉もいただきました。大坂氏や図録について拙いにわか知識を連ねることはしません。どうぞこの素晴らしい図録を手にされることをお勧めするばかりです。

途絶えていた技法を自らのものとし独自の表現を切り開く
タイトルの画像は、大坂氏の代表作「黒柿蘇芳染宝相華文花形盒子」2002(平成14)年
緻密な装飾、類を見ない技法はもちろんのこと、私が感じる一番の印象は「上質な品位」です。大坂氏の感性が私の感性に語り掛けて来る心地よい品位です。図録ではこの衝撃的な技法と解説を写真と共に詳しく掲載しています。食い入るように読みましたが難解な箇所もあり会話が白熱することとなりました。すべてを余すことなく見せてくれる寛大さに、大坂氏の芸術や美に対する穏やかな力加減を感じます。





倉吉博物館
展覧会が鳥取県で開催と聞き、一度も訪れたことがない遠い地域に思いを馳せました。しかしどれぐらい時間がかかるのか?どの経路がアクセスが良いのか?などを半ば本気で調べました。どのルートを辿っても遠いと言う結果になりましたが、むしろ旅とは経路ではないかと思い、しばし妄想の旅をしてみました。実際、倉吉市のホームページにアクセスすると魅力的な地域であると思いました。歴史、文化・芸術、自然、特産品・・・興味深いものばかりで心に残りました。
図録2冊は小冊子ですが、道具についての解説や、工芸ノート、他の図録に掲載されていない作品などがあり、貴重なものです。
素材となる「黒柿」について、日本を代表する銘木として良材を多く産出する産地の中で「会津」の地名もあり大変嬉しく思いました。山形が有名であると認識していて、毎年展示会が会津に来ますが見事な作品に手も出ずため息ばかり。
最後になりましたが、写真掲載を快くご承諾いただいた倉吉博物館ご担当の方に深く感謝いたします。分からないことがあったら担当まで問合せするよう添えてくださいました。分からないことだらけです。しかしここまで丁寧に解説された図録があることは救いです。ぜひ東日本での展覧会開催、いえ、どこかでの開催を切望してやみません。
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