デザインの考察:16

TSUGU つぐ minä perhonen 100年続くデザインの30周年に伝えてくれること
世田谷美術館(会期:2025年11月22日(土)~2026年2月1日(日))で開催され、今後全国へ巡回されます。
デザインの発想、下書き、原画、制作の技法や工程をここまで深く広く展示する展覧会は類がなく、世界で活躍する皆川氏、ミナペルホネンその意図を観る側も真摯に受け止めなければなりません。






つぐ展では貴重な展示内容の撮影が可能でした。図録にも掲載はされていますが、やはり目の前にあるデザインにまつわる物語を記録したい気持ちになるのです。ついつい仕事目線で眺めてしまうけれども、根本は長年愛し続けるデザインの原点や新たな展開を確認しに来る、そのような感覚です。



とても珍しい素材「pot-au-feuseason(2015-16 a/weason)」の織りを裏側から見せています。いくつもの野菜やお肉を鍋でコトコト煮込んで仕上げるポトフ、と言う名前のテキスタイルです。「織り上げたあと、人の手で時間をかけてカットする手間を必要とする。(公HPより)」そんな生地なのです。そしてミナペルホネンのスタンダードとなる「tambourine(2000-01 a/w)」の展開の可能性を示唆するコーナー。タンバリンについては、前回のつづく展で特設コーナーがありました。このテキスタイルが長く愛される理由のひとつは「無限性」にあるのではないかと感じています。商品開発やコラボレーションの可能性も無限です。




デザインやテキスタイルが製品になった姿もまた格別です。モチーフのトリミング、配置に、「ああ、こうなるのか」と完成されたスタイルも新しいデザインの在り方。リペアのコーナーも毎回力強く、製品となったミナブランドが大切にされていることを実証していますし、仕立てをされる方にとっても大きなヒントになるのではないかと感じました。

自身の拙い話ですが、minä perhonen Moriokaでタンバリンのハギレを見つけ購入しましたがサイズが限られていた。そしてminä perhonen materiaali Kyotoで色違いのタンバリンを購入し組み合わせてブラウスを仕立てようと考え着きました。前見頃の片方が盛岡のタンバリンという構想です。
そんな柔軟な発想に導いてくれるコーナーでした。



つぐ展には1月後半の平日に行きましたが混雑状況はまあまあ観やすい状態でした。世田谷美術館は初めてで周辺の様子も分からないため、まずはランチ確保と言うことが優先されるのです。施設内のレストランは展覧会期間中の予約は受け付けないため開店前から並び待つことにしましたが、大きなガラス越しに見る「くぬぎ広場」の晴れた冬の景色が心地よく、レストランまでの回廊は贅沢にも「jardin(2017-18 a/w)」で設えてありました。こんな幸福な空間で待つ時間も時にはギフトです。世田谷美術館内では通路にミナペルホネンファブリックのベンチチェストがあり、展示ブース内だけではなく美術館全体がつぐ展を表現していました。丁寧で行き届いた展覧会であったと感じます。



つぐ展のために初めて訪れた世田谷区用賀。美術館までは駅から小さな案内がずっと続いており、静かで落ち着いた住宅街を歩くよう導かれています。道々、大きな柑橘系の木がある住宅が多いことに気が付きました。八朔であろうか?ずっしりたわわに実をつけていました。(許可を取って撮影させていただきました。)周辺には畑もあり、そこにも同じ木がたくさんの実をつけていました。大きな家の門前ではオーガニック野菜の無人販売があり、柚子に目を奪われましたが荷物になるとやめてしまい失敗。当然ながら帰りにはもうありません。「世田谷野菜」ののぼりもあり、この周辺では営農も活発なことを知りました。
そして往路で気になっていた道沿いのカフェが実は素敵なお店であったことを帰宅後のHPで知るのでした。残念。
「つぐminäperhonen April16,2026–June7,2026」松本市美術館での巡回展案内も始まっています。
minä perhonen
世田谷美術館
工房花屋

